今回は前回 ↓ の続きで、8話を考察していきます。
妄想代理人が難解だったので、各話振り返りながら考察する。2 - アラサー高学歴ニートの軌跡
目次
8話 概要
元学者らしき爺さんの「冬蜂」、同性愛者の大男「ゼブラ」、女子小学生「カモメ」の3人の自殺志願者による遠足回。これまでの陰鬱とした雰囲気とは違い、非常に楽しそうな印象を受ける。
しかし、途中から3人の影が消えていたり、少年バットが3人を見て逃げ出したり、冬蜂が持っていた錠剤が物語終盤で復活している、といった不穏なシーンも目立つ。時々画面に映るチャットが打ち込まれた時刻が実際の時刻と合っていない点も含めて、幾つもの謎があるので、今回はそれらの謎を考察していきたい。
3人はいつ死んだのか?
ネット上では、3人はいつ死んだのか?という疑問への様々な考察が溢れている。俺は、3人は物語序盤の練炭自殺の際に死んでいたと思う。
冬蜂とゼブラは、公園でカモメと追いかけっこしている最中に、1度だけ両者の影が確認できた。つまり、公園での追いかけっこの際には両者は生きていた。冬蜂とゼブラが練炭自殺を図り、さらに3人がいたビルにショベルカーのショベルが突っ込んだ後で、3人とも無傷で放り出されている。その際に、3人がいたビルは床が完全に抜け落ち、崩壊していた。無傷で済むのはどう考えてもおかしい。
ビルから放り出された後、3人の影は1度も確認できなかった。以上より、ビルから無傷で放り出された時点で、3人は死んでいたと考えるのが自然である。
しかしながら、カモメの影が物語を通して1度も確認できなかった点が引っ掛かる。待ち合わせに遅れた点や、冬蜂とゼブラが練炭自殺を図った後で急に現れた点も踏まえると、最初から死んでいたとも考えられる。練炭自殺の際にも姿を消していた。ただ、9月30日までは冬蜂やゼブラとチャットしていた点を踏まえると、練炭自殺かショベルカー襲来の際に死んだと捉えるのが自然だろう。
チャットのログの不自然さ
物語の随所で、冬蜂、ゼブラ、カモメ、FOX(狐塚つまり偽少年バット)、horse(おそらく馬庭)の5人によるチャットのログが挿入されている。
だが、チャットのログに残されている時刻と、実際の時刻が全く合っていないのである。例えば、3人が待ち合わせをしていたのは夕方17時頃なのに、チャットのログは23時を示しているというように。
チャットのログは、大きく3つに分けられる。
1、物語の途中までと終盤では、9月30日のログ。
2、3人が地下鉄に乗るシーンから、9月23日のログ。
3、horseだけが会話していた、10月2日のログ。
大きく分けて上記3つのログの流れが確認できた。
ちなみに、FOXは9月30日のログで確認できなかった。よって、9月23日から9月30日の間に死んでいると思われる。(9月30日のログは、22時から23時台のものである。)
なぜ急に9月23日のログに逆戻りしたのか。
3人が地下鉄に乗るシーンから、9月23日のログに逆戻りしている。その時点で3人は明らかに死んでいたから、ログを逆戻りさせることで「3人の行動は3人の妄想ですよ。」と暗示する効果があったのだろうか。
なぜまた9月30日のログが表示されたのか。
物語終盤、3人がコンビの駐車場で語らうシーンでは、9月30日のログが表示された。冬蜂だけとはいえ、自分が死んだと気付き、これまでの遠足が妄想だったと悟っている。ログを元通りにすることで「1人とはいえ妄想だと気付いた者が出た」ことを強調しているのだろうか。
3人の死亡推定時刻
10月2日(23時頃)のチャットでは、入室者は馬庭だけであった。3人は9月30日まではチャットに入り浸っていたのに、10月2日はチャットに参加していなかった。
ゆえに、3人が死んだのは、10月1日か10月2日に絞られる。
3人が死んだのは、おそらく10月1日夜だろう。
練炭自殺後、3人が目覚めたのは10月2日朝である。遠くへ行く電車に乗っていたのは、真昼。その後、夜まで山登りし、宿に泊まった。そして、10月2日のチャットは23時に書き込まれている。同時間帯に3人は床についている。
不審な点
09/23 00:35 FOX>山は意外と見つかりやすいんだ、
こだわるならよほど山奥に行かないと・・、
09/30 23:20 ゼブラ>・・山はムズカシイですか?
妄想代理人 8話 チャットログメモ - _(:3 」∠)_ - Yahoo!ブログより引用
↑ のログだけ、なぜかゼブラの書き込み時刻が明らかにおかしい。9月30日のゼブラの質問に対して、9月23日に狐塚が回答している。制作者(総監督はあの今敏である)の凡ミスとは言い難い。3人の妄想と現実が入り乱れている様を表現するため、あえておかしな書き込み時刻を演出したのだろうか。
少年バットはなぜ逃げ出したのか?
いつもなら、3人ともバットで殴られているはずである。しかし、「少年バット様あああ」と3人が縋り付いてくる様を見て、思わず少年バットもドン引きして逃げ出してしまったように見える。
ちなみに、少年バットが逃げる際には影が確認できた。風貌も狐塚に似ており、第二の偽少年バットとも考えられる。
だがしかし。少年バットの役割は「生きている人間が追い詰められている時に現れ、バットで殴ることで一時の救いをもたらす」というものだ。
死んでいる人間に振るうバットは無いのである。
3人が実は死んでいる(ターゲットを間違えた)ということに少年バットはしばらくして気付き、いち早く現場から立ち去ったのである。
8話の意義
少年バットは、大方の人間に恐れられている。しかし、中には少年バットが襲ってくるのを待ち望んでいる人間もいる。少年バットが待望される状況が一部にあると描くことで、以降の回の少年バット狂想曲を盛り上げる意図はあるだろう。待望される少年バットを描くことで、社会のおかしさを皮肉る狙いもあるはずだ。
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