アニメ「日常」はただのシュールギャグアニメではありません。実はめちゃくちゃ画期的な作品だったのです…!
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目次
「日常」がオマージュした作品の数々
「日常」は画期的かつとても独特な作品なのだが、その構成要素の多くは他作品のオマージュである。世界観というか雰囲気は電脳コイルが元ネタだろう。基本的には昭和をベースにした世界観ながら、ロボ美少女なのを始めとした近未来技術が登場するという点が同じである。また、BGMもどこか電脳コイルに似ている。各話の構成は、らき☆すたを参考にしている。1話20分強の枠内でいくつもの小ネタを連発し、しかも各ネタが独自に完結していることが多くまるでショートアニメの連続のような構成だ。さよなら絶望先生では、1つの話が終わると独自のCM絵やネタ絵が出てくることがあった。同作品の3期では、毎回の「絶望先生絵かきうた」やすぐ終わった「視聴者の意見紹介」のコーナーがあった。「日常」では、同作品以上にコーナーやネタ絵が頻繁に登場する。定点観測やヘルベチカスタンダード、ヒトコトワドコトバといったミニコーナー、日常という文字がゆらゆら揺れる映像などである。ギャグは、ぱにぽにを彷彿とさせる。シュールでどこを笑えばいいのか迷う点が同じである。
エルフェンリートの影響も非常に強い。同作品では、キャラが腕を付け外しするシーンがグロギャグとして描かれていた。しかし、ここが笑い所だと明示されておらず分かり難いギャグだった。しかし、「日常」ではなのの腕が取れて博士が大爆笑するシーンなどでわかりやすくギャグとして提示されている。
誰がやっても笑える「笑い」の追求
「日常」は、あずまんが大王、けいおん、らき☆すた、ぱにぽに、さよなら絶望先生などと違って強烈な個性を持った記憶に残るキャラに乏しい。(強いて言えば、なのやはかせくらい。)にもかかわらず、例に挙げた作品以上に「日常」が笑える作品になっている理由は何であろうか。例に挙げた作品はキャラの強烈な個性に依存した笑い(そのキャラだから笑える笑い)が展開されてきた。しかし、「日常」ではキャラ依存の笑いからの脱却を図り、誰がやっても笑える笑いが模索されている。つまり、シチュエーションやネタ主導の笑いが展開されているからである。例を挙げてみると、
・桜井先生のロッカーに校長が弥勒菩薩を入れた。しかも詠んだ歌がアレだし、校長なのに教頭に戦力外通告くらっているという有様。
・なのを始め、様々なキャラの体内からお菓子が出てくる。しかも、出てきたお菓子を食べるw
・みおが書いた裸のイケメンの絵が英単語テストの題材になる。しかも何が答えなのか非常に分かり難くて、二重に笑える。
・みおの姉よしのがみおのケーキのイチゴを取って、代わりに桂馬を据えた。とっておきのケーキにはいたずらされてないと思いきや、なんと今度はイチゴが王将に変わっていた。よしのは自分に「ハッピーバースデートゥーミー」と歌うし、王将引っ張るとよしのが自身に宛てた「お誕生日おめでとう」の垂れ幕が出てきた。
・教頭が校長に藁人形を作ろうとして挫折し、しまいには孫の泥だんごを食べて「幸せは泥の味がするんだなあ」と述懐した。
・なのの水筒からすいとんが出てきた。
・長くつとやかんが釣れて満足して帰ったら、桃が流れていった。
以上の例から分かるように、「日常」はキャラ主導の笑いからの脱却を図り、誰がやっても笑える笑いを追求した点で画期的なのである。
古典的なギャグを斬新にアレンジ
また、古典的なギャグを斬新にアレンジしている点も画期的である。例を幾つか挙げてみる。眼鏡が額にかかっているのに眼鏡を探すのはありがちなネタだが、「日常」では眼鏡を所定の位置にもかけている点が斬新である。さらにコンタクトまでしているとう徹底ぶりには心底笑わせていただいた。モヒカンの被らされていた大福の裏側がペンキ塗りたてに関しては、ペンキ塗りたて自体はありきたりなギャグだが一見無関係の場面で出てくるからこそ斬新だった。
「欠損」ではなく「余剰」への萌え
エルフェンリートでは美少女たちの「欠損」が萌えとして描かれていた。対して、「日常」はどうだろう。はかせがなのに「ネジ可愛い」と言ったシーンで分かるように、美少女に本来あるはずのないネジが付いていることが萌えとして描かれている。つまり、「余剰」への萌えが提示されている。「余剰」への萌えは現在、AV業界における「男の娘」人気として広く一般にも認知されている。「余剰」への萌えを予期した点で、「日常」は実に画期的である。
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