ぱにぽにだっしゅ!は、2005年7月から12月までテレビ東京系列で放映されたアニメ作品。
個性豊かな生徒や教師、動物や宇宙人、超自然的存在、そしてテレビスタッフたちが繰り広げる、一風変わった学園コメディである。
黒板などに書かれた大量の文字群や、テレビスタッフ等の仕掛けを用いてのメタ的表現など、数々の新しい試みで話題となった。
そんな考察&評論しがいのある「ぱにぽにだっしゅ!」について、今回は色々述べていく。
目次
異様に多い、情報量
本作品の特徴の一つとして、極めて多い情報量が挙げられる。黒板等に書かれた複数の文字群が代表的である。一つ一つは短めの文や単語であるが、大抵は5つ程度の文字のカタマリが1度に画面に表示されるため、1回の視聴で全てを読み取ることはほぼ不可能である。しかも、数秒間画面に表示されては、また次の文字群が表示されるため、脳の処理能力が試される。現実でたまに見られる、異様に速いスピードの授業を皮肉っているのだろうか。
主人公のレベッカ宮本(11歳の天才少女)が授業をする際、我々視聴者にはギャグと思える数多の文字群が黒板で己の存在を誇示しているシーンが多々見受けられる。しかも、多くの場合において文字のカタマリ同士に関連性を見出すことが極めて困難である。世の中で行われている授業の本質的な無意味さを、ギャグという形で表現しているのだろうか。
頻出する劇中劇
本作品では、いわゆる劇中劇が多用されている。一場面が終わるごとに画面全体が引いて、テレビスタッフの撮影風景が映るのは毎度おなじみである。撮影する側の制作スタッフと撮影される側の物語本編という、アニメ作品の基本的な構図が一つの画面に提示されている。それは、我々視聴者に対する「アニメは虚構である」というメッセージとも思われる。
また、後半の回からは画面全体がゲームのプレイ画面になり、登場人物たちはゲームのキャラクターとして操作される立場として描かれる。本来、アニメにおける登場人物は制作スタッフのいわば操り人形であるが、我々視聴者には登場人物が自由に動いているように見える。だが、本作品は登場人物をゲームキャラクターとして描くことで、操り人形としての登場人物という本来の側面を明らかにしている。また、ゲームキャラクター化した登場人物は、我々視聴者をゲームのプレイヤーと錯覚させてしまう。すると視聴者は、自分が物語を動かしているという錯覚に陥る。この錯覚は、本作品の中毒性の要因の一つだと言えよう。
物語全体に漂う、独特の寛容の精神
本作品の舞台となっているのは、桃月学園という高等学校である。マサチューセッツ工科大学をわずか10歳で卒業した天才少女である先生や、毎日酒びたりでの先生、筋骨隆々の留学生、無気力なヤンキー、しゃべるうさぎ、しゃべるオオサンショウウオ、自らを神様と名乗るしゃべる猫などなど個性的なキャラクターが多数登場する。しゃべる動物でも、気味悪がられたり排除されることはなく、一応は受け入れられている。不遇な扱いを受けるキャラや、ちょっとした対立関係はあるが、なんだかんだで平和な環境は維持されている。全てのキャラが尊重され、対立関係などなく平和に過ごしているのが理想だが、本作品では現実的な妥協の結果が描かれていると言える。
いじられたり、不遇な扱いを受けるキャラと、そういうキャラに対する別のキャラの困惑が随所で描かれ、妙に現実的である。この妙な現実感も、本作品の中毒性を形成する要因の一つなのだろう。
特定のキャラが毎回いじられたり不遇な扱いを受けつつも、排除はされずなんだかんだ人間的な扱いを受けているのは、どこか安心感を覚えるのも事実である。
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