俺の家では、毎週月曜日の夜はテレビ東京と決まっている。
「未来世紀ジパング」も毎週リビングのテレビが映し続けているのだが、いつもは聞き流していた。
しかし今回のテーマは「AI」ということで、珍しく見入ってしまった。
冒頭で、将棋でAI(人工知能)が名人に勝つ模様が流れていた。
ボナンザが有名だが、AIが人間の棋士を圧倒するようになって何年経つのだろう。
名人は、ボナンザ相手に7時間粘り続けた。指されたのは、90手余り。AIはほぼノータイムだろうから、7時間もの間名人は考え続けたのだ。それでも指したのは、たった90手ほど。1手に如何に時間を掛けたかが分かる。
名人との対局を終え、ボナンザの開発者へのインタビューが始まった。
最初は、将棋を覚えたての初心者にも負けるくらい弱かったAI。
しかし、学習の末、名人を圧倒するほど強くなった。
なぜこんなに強くなったのか?
これまでに、計8億回も対局してきたからだ、と開発者は述べた。
8億回など、人間が一生かかっても無理だ。
将棋を強くなるために対局を続けるのは、とても泥臭い努力とも言える。
絶対勝てないあいつに勝ちたい、その一心で1年間毎日5局指し続けるのは、とても泥臭い。
だとすると、その黙々とその何倍もの対局数をこなしてきたAIは、人間の誰よりも泥臭いと言えるだろう。
誰よりも将棋を強くなるために、AIは8億回も経験を積んできたのだ。
その結果、名人に圧勝するくらいAIは強くなった。
人間だって、誰よりも多く経験を積めば、誰よりも上に行けるのでは?
経験の強みをAIに教わった、月曜の夜だった。