前回のあらすじ
自宅警備員だった藤浪は、どういうわけか英語嫌いの男子中学生(安河内)の家庭教師をやることになった。彼が英語嫌いな理由が英語教師にあることは分かったが・・・。
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無能ニートが家庭教師をしたら、生徒の英語嫌いが直った話1「邂逅」 - アラサー高学歴ニートの軌跡
「ところで、安河内 。好きな子いるか?」
「う〜ん。いないなあ。」
「ふむ、なるほど。じゃあクラスで一番可愛い子はどんな子?」
「めちゃくちゃクールで近寄りがたくて、でもとても頭がいい。」
「チャラ男が話しかけても、相手にしない感じ?」
「そうですね、話しかけてくる男ほぼ全員相手にしてない感じ。」
まるで四畳半神話体系に出てくる明石さんみたいだな。
「実はその子が好きなんだろ?」
「い、いや別に好きでは・・・。」
と言いながら顔が明らかに赤くなっている。
「顔真っ赤だよ。」
安河内は返事をしない。
「万が一付き合えるとしたら、付き合ってみたい?」
「ええ、まあ。」
「オッケー。俺が君たちの恋を応援してやる。」
「でも無理ですよ。あの子は頭の良い奴以外相手にしないから。」
「なら安河内も頭の良い奴になればいい。」
「どうやって?」
「まず、英語で90点取ろう。まだ中学生のうちなら、勉強ができる=頭がいいってことだから。」
安河内の場合、英語の点数はいつも20点いくかどうか、というレベルである。国語もやや苦手で、この前のテストでは60点を切ってしまっていた。他は80点には届いてはいるが。
「無理です。英語大嫌いだし、教科書見るのも嫌です。」
「うむ。俺が安河内の立場なら、そうなると思う。ところで安河内、ゲームは好きか?」
「ちょっと前まで好きだったけど、今はやってません。」
「なるほど。なんで辞めちゃったの?」
「飽きちゃったから。」
「だよね。ゲームって、仕組みが大体分かっちゃうと、飽きるよね。ということは、や安河内はゲームの仕組みを分かっている。つまり、安河内は頭がいい。」
「そうですかねえ。」
疑っているような口ぶりだが、嬉しそうである。
「それなら、英語の勉強をゲームにしちゃおうか。」
「え?そんなことできるんですか?」
「ああ、できるさ。すでにゲームのアイデアは考えてある。」
実はアイデアは白紙なのだが、生徒の手前、ハッタリをかましておく。
「だったら、やってみてもいいですけど。」
「よし、頑張ろう!」
藤浪と安河内は固い握手をした。
この時点で中1の学年末試験まで、残り2カ月を切っていた。
藤浪に秘策はあるのか。
続く