アラサー高学歴ニートの軌跡

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【各予備校で解答が割れた問の検証】2019早稲田大学解答速報 文構編

文化構想学部の国語大問二問十三で各予備校の正解が割れました。が、検証の結果極めて高い確率で正解と言える選択肢が判明したので皆さんにシェアします。 大問三問二十三でも、若干の割れがありました。(2019年2月27日修正)

 

今年の文化構想学部の大問二は紛らわしい選択肢が多く、とりわけ問十三では各予備校の判断が割れる結果となりました。

 

問十三は、本文の趣旨と合致しないものを4つの選択肢から1つ選ぶ問題でした。

 

イを正解としたのは、代ゼミ、駿台、増田塾。

ロを正解としたのは、早稲田予備校。

ニを正解としたのは、東進、河合塾。

 

ものの見事に3つに割れました。僕はイが正解である確率が極めて高いと推測します。ニを誤答とする根拠の説明は難しいので、簡単な選択肢から検証していきます。

 

まず、ハは明らかに本文の趣旨と合致します。選択肢文の主語が「写真家」であり主語が極めて狭い範囲に限定されているため、怪しげな解法だと正解になるでしょう(苦笑)。しかしながら、最終段落の後ろから3・4行前の『これまで〜経験するはずである』がハを言い換えているため不正解となります。写真家は自己を再生する機会に恵まれてはいるが、放棄してしまっているのです。

 

ロは早稲田予備校が『ロの「真の写真家」については述べられていない。』と述べ正解としています。真の写真家について本文に一切記述がないため、趣旨ではないのは確かです。それでも僕は、河合塾の『空欄ロの1行後の 内容から推論しうる。』を支持し、ロは本文の趣旨と合致すると考えます。本文に「真の写真家」の定義は書かれていません。が、本文の写真家に関する記述『〈世界〉と〈私〉との不断の緊張からの逃亡』を反転させて「〈世界〉と〈私〉との不断の緊張との相対」とすれば、「真の写真家」の定義は浮かび上がってきます。同じく第五段落の『〈私〉を忘れ去った者』も参照すれば、該当箇所がロの言い換えであると判断できます。ちなみに、ロの「被写体」及び「対象」は本文だと『世界』に対応します。ここまで述べてきたように、文化構想学部の問題作成者が「本文の記述のみに囚われず、本文の記述から論理的に推測できる能力」を求めていると仮定すれば、本選択肢の不正解は十分うなずけます。

 

イを正解としたのは、代ゼミと駿台です。『未知の自分を発見しようとする本能的な変身願望』がカギです。駿台は『「未知の自分を発見しようとする」と「変身願望」との論理的混乱に注意。』と述べています。本文でも『私ではない誰かへの変身願望』とあり、「私ではない誰か」と「未知の自分」が明らかに相反していると分かります。ただ、哲学では「私=誰か」とする考え方も存在し、最終的に変身した結果も「私ではない誰か」ではなく「未知の自分」ではあるのでイの不正解も一見有り得そうに思えます。しかし、変身願望があった時点では、「未知の自分」ではなく「私ではない誰か」つまり「自分ではない誰か」が想定されているのは本文を読む限り明らかです。よって、イが正解となります。また、本文では「変身願望」が「〜かもしれない」と断定されていません。すなわち、変身願望の記述自体的外れである可能性が残っています。にもかかわらず、イでは「通じるものがある」と断定されているため、やはりイが正解となります。

 

ニを正解としたのは、東進と河合塾です。河合塾は『ニで説明されてい るような、帰国後の「写真家」が「写真を撮れない」理 由は本文からは読み取れない。』と述べていますが、実際にはかろうじて本文から読み取ることは可能です。(東進は解答根拠を示しておらず、担当者のオーバーワークが予想されます。)本文4段落目の『異国への憧憬とロマンティシズム』はニの「感傷」や「好奇心」と言い換えは一応可能。そして、第3段落の最初の文にある『世界中を旅する写真家が旅先で撮った一見魅力的な写真すべてに、旅行者だけが持つ甘えた感傷と好奇心がべったり貼り付いている』という趣旨の記述からは、写真家が旅行者ではなくなった時(好奇心がなくなった時)写真を撮れなくなってしまうと推測できなくもない。上で述べた『文化構想学部の問題作成者が「本文の記述のみに囚われず、本文の記述から論理的に推測できる能力」を求めている』にも当てはまっている。ニの「旅行者に特権的に許される」は気になる表現だが、本文の『旅行者だけがもつ』と一応対応している。同じくニの『感傷や好奇心にこだわるからだ』は、本文の『これらの写真には(中略)感傷と(中略)好奇心がべったりはりついている』と一応対応している。問題作成者は、写真にはりついている感傷と好奇心から写真家の感傷や好奇心へのこだわりを読み取ったのだろう。

 

以上より、イが正解である確率は極めて高いと推測されます。

 

(以下、2019年2月27日追記)

 

 大問三問二十三でも、若干の割れがありました。正解はニだと思われますが、東進のみヘとしました。河合塾曰く『「敗ること無し」という傍線部の前の読み方からニを正解とした』。増田塾曰く『出題者が想定していたのはニ。』